「くるっ肥」普通肥料登録完了

おおき循環センターから発生するメタン発酵消火液(有機液体肥料)の普通肥料登録が6月11日完了しました。その名も「くるっ肥」

これで市販の肥料と同じ扱いとなり、定期的な成分分析を行って安全性を確保する一方、販売することも可能となりました。

しかし、当分の間は、できるだけ多くの皆さんに「くるっ肥」を試していただきたいので、大木町にお住まいの方は無料とさせていただきます。循環センターでお分けしていますので、ぜひご活用ください。

バイオガス液肥活用シンポジューム

5月7日、環境学習室で「バイオガス液肥活用シンポジューム」を開催しました。

当日は、バイオガス液肥利用の第一人者である埼玉県小川町の桑原衛さんによる「液肥利用技術の講演」と、九州大学大学院農学研究院の山川武夫准教授による「大木町との液肥利用共同研究報告」があり、各分野から集まった30数名の参加者は、熱心に耳を傾けていました。

桑原さんの、「バイオガス液肥はビタミン類等微量要素が豊富で、苗の生育時期に散布すれば根の発育が旺盛になり、ひいては増収につながる。」との話に、くるるんで生産される液肥の幅広い可能性を感じることができました。

また、山川准教授は、「液肥の散布技術を高めれば、化学肥料とそん色なく栽培ができる。有機態窒素が徐々に分解するため、元肥一本での栽培も可能性がある。」とデータを示しながら報告いただきました。

現在、くるるんで生産される液肥“くるっ肥”は、普通肥料登録申請を行っています。登録後も定期的な成分分析を行っていきますので、安心してご利用ください。

また、近々循環センターに“くるっ肥スタンド”(無料)をオープン予定です。

↑ 桑原 衛 氏 (NPO法人小川町風土活用センター代表理事)

↑ 山川武夫 氏 (九州大学大学院農学研究院准教授)

「環境のまちづくり」宣言

「環境のまちづくり」宣言

私たちは今、大きな岐路に立たされています。
これまでのような使い捨ての生活をつづけるのか、
それとも、限りある資源を繰り返し使う無駄のない生活スタイルを取り戻すのか‥‥
使い捨ての社会は、すでに限界を迎えています。
これからは、「もったいない」の価値観が
持続可能な社会を作るキーワードになります。

 美しい故郷を、もっと自慢できる故郷にして、
未来の世代に引き継ぐために、身近なところから始めましょう。

 おおき循環センター「くるるん」が完成し、
生ゴミなどの再資源化という新しい取り組みがスタートしました。

 私たちは、この取り組みを契機に、
何一つ無駄にしなかった先人の知恵に学び、
今後更に、循環のまちづくりを推進していくことをここに宣言します。

平成18年11月11日
循環のまちづくり推進委員 代表 荒木フサエ

地域循環システムを創る

~生ゴミを活かすための循環システムを創る~

生ゴミをごみ処理するのではなく、資源として活かすためには地域にあった循環システムを創ることが不可欠です。単にバイオガスプラントなどの機械(ハード)を導入するだけでは、エネルギーや液肥をうまく活用することが出来ません。ハードの導入だけではごみ処理の延長になる可能性が高く、農地に廃棄物をばら撒くことになりかねません。大木町では生ゴミを地域で活かすための循環システムを確立させることを目指しています。それは家庭からでる生ゴミの分別システム、地域にあったなるべく低コストのハードの選定、液肥の成分調査と使用技術の確立や散布方法、循環農産物の販売と地域への還元などの分野で実証研究を実施してきました。

大木町の概況

大木町の概況

福岡県南部筑後平野の中央部、水郷柳川に隣接した農業の町

人口約14500人、面積18.43平方キロ

掘割が町の面積の14%

この地方は古代「水沼の縣(あがた)」と呼ばれる沼地で、三潴郡の名称は水沼が変化して名づけられたと言われています。沼地であったこの地域で排水のよい地盤とするため先人が営々と作り上げたものが「堀」で、この堀が町全体を網の目のように巡り、農業用水や防火用水、生活廃水の放流先、地下水の涵養(かんよう)など生活と密接に関わっているのが町の特徴。堀の面積は町全体の14%を占めています。

近年では、生活廃水による集落内のクリーク(堀)の汚濁が問題化しており、住民団体を中心とした、堀再生への取り組みが盛んに行われています。

特産は、苺・シメジ・えのき・花ござなど

住民活動が盛ん(アース倶楽部など)

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循環のまちづくりの取り組みが、

2006年2月にバイオマスタウンに認定されました。

生ごみ分別慣れてしまえば

 大木町では、平成13年11月から、7地区の行政区648世帯及び町内の保育園・給食センター・アクアスに協力をお願いし、生ごみ分別収集を実施してきました。ご協力をお願いする家庭に水切りバケツを配り、5世帯から10世帯ごとに配置したバケツコンテナに生ごみを投入してもらいました。

生ごみの収集は週2回、収集日の前日の夕方までにバケツコンテナを配置し、次の日の午前中に回収する方法で実施しました。

 モデル地区の家庭に約半年間の生ごみ分別をお願いし、期間終了後アンケートを実施しました。

アンケートの結果は以下のようになりました。

生ごみ分別を継続させるためにも最も重要なことは、良好な分別状況を維持できるかどうかにあります。

モデル地区における分別収集は、山形県長井市のレインボープランなどで採用されている、バケツコンテナ方式により実施しました。

分別したら燃やすごみが7割も減りました。

道本地区生ごみ分別モデル地区から17名に協力をお願いし、今まで燃やすごみとして町の指定袋で出しているものの中で、「生ごみ」「雑誌」「プラスチック・ビニール」「燃やすごみ(雑ごみ)」の4種類に分別して、1ヶ月間各重量を量ってもらいました。その結果、平均して燃やすごみが7割も減りました。

各家庭によって出されるごみの量にはかなりの開きがありましたが、「燃やすごみ」の中からきちんと分別を行えば平均で7割(最高9割)のごみの減量となることがわかりました。

また全体のおよそ6割を「生ごみ」が締めています。生ごみを分別すれば「燃やすごみ」が6割も減ることになります。さらにプラスチック・ビニールを分別したことによって使用するごみ袋の数が目に見えて減ったという感想もありました。容積の面でも大幅なごみの減量につながりました。

<平成13年度から3年間実施した有機物循環事業共同研究より>

大木町が目指す循環のまちづくり

大木町は住民活動が盛んで、福祉環境まちづくり子育てなどをテーマにした団体が活発に活動しています。このような住民団体の活動に支えられ、行政と住民のパートナーシップによるまちづくりが進んでいます。

また、特に循環型地域社会づくりを目指した様々な取り組みを、住民との協働により実施しています。

平成7年からは、近隣市町村に先駆けて資源ごみの分別収集を全行政区域で開始し、住民との共同作業によりごみ資源化に大きな成果を上げています。

平成12年度には、大木町地域エネルギービジョンを策定し、生ごみなどバイオマス資源の活用計画や、太陽光など自然エネルギーの導入計画、さらに≪あーすくらぶ≫などの住民団体が取り組んでいた、省エネルギープランも導入。

中でも、太陽光発電の普及は目覚しく、町内学校施設への太陽光発電設置事業や、住民団体と共同による町の温泉施設への地域共同発電所の設置。更に住宅用太陽光発電設置に対する補助事業、おおきグリーンファンドなどの住民団体との共同による啓発事業などにより急速に広がっています。

平成13年度から3年間、福岡県リサイクル総合研究センターとの共同事業により、長崎大学や佐賀大学、九州大学、福岡教育大学などの研究室や㈱クボタ、地域農業改良普及センターなどの関係機関、住民や農家など『産・官・学』が参加して、生ごみを地域循環させるための社会システムの確立を目指し、実証実験を含めた共同研究を行い、今日のバイオマスタウン構想の基礎を築いてきました。

平成16年度には「バイオマス等未活用エネルギー実証試験事業・同事業調査」に取り組んでおり・生ごみ・し尿等有機廃棄物のバイオガスプラントによる資源化のための調査事業を実施してきたのです。

以上のような環境への取り組みの集大成が、現在大木町が目指している循環のまちづくりである。バイオマスタウン構想は大木町が目指す循環のまちづくりの中核を担っています。