英政府も「ガソリン増税」提案 財政確保と温暖化対策で

産経ニュース  2008.3.14 10:25

【ロンドン=木村正人】ダーリング英財務相は12日、2008年度予算案を議会に提出した。日本でも激しい国会論戦になっている“ガソリン税”について、今年10月から1リットル当たり2ペンス(約4円)引き上げる方針を明らかにした。苦しい財政事情の中で地球温暖化対策を進めるため、自動車税などの増税策も打ち出している。

主要国のガソリン価格(1リットル当たり)と税負担額(消費税込み)を比べると、“環境先進地域”の欧州では二酸化炭素(CO2)排出量を抑えるため、税率は高く設定されている。昨年4~6月の時点で英国は225円のうち税負担額は149円(66%)。ドイツやフランスがこれに続き、日本は155円のうち61円(39%)、米国は96円のうち12円(13%)と格段に低い。

ダーリング財務相は当初、ガソリンや軽油、液化石油ガス(LPG)などの税金を今年4月から引き上げる予定だったが、原油高騰が家計に与える影響に配慮して半年間先送りした。環境にやさしい自動車を普及させるため来年4月から、CO2排出量に応じて取得時の税金を重くする自動車税を導入する。また、スーパーなどで無料配布されているレジ袋について、店側が自主的に対策を取らない場合、有料化を義務づける考えを示した。

日本ではガソリン税は道路を建設・維持する特定財源に充てられているため、野党、民主党が一般財源化や暫定税率廃止(1リットル当たり約25円の引き下げ)を求めている。7月の北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)では温暖化対策が最大のテーマになるが、「道路」という利権政治にどっぷりつかった日本の後進性が浮き彫りになっている。