バイオ燃料生産が温暖化促進!?森の減少で…米チーム試算

地球温暖化防止で注目されるバイオ燃料を生産するため、森や草原を、原料となる大豆などの畑に変えると、逆に温暖化を促進してしまうという試算を、米国の研究者らがまとめた。

地球温暖化防止で注目されるバイオ燃料を生産するため、森や草原を、原料となる大豆などの畑に変えると、逆に温暖化を促進してしまうという試算を、米国の研究者らがまとめた。

森などが蓄えていた炭素が大量の二酸化炭素(CO2)として放出され、数十年から数百年後まではCO2抑制効果が出ないという。8日発行の米科学誌サイエンスに発表した。

試算したのは、米国の環境保護団体「ネイチャー・コンサーバンシー」とミネソタ大学の共同チーム。

森林や草原を畑にすると、燃やしたり、草木を微生物が分解したりする際に大量のCO2が出る。研究チームは、東南アジアやブラジル、米国などを例に、様々な植生をバイオ燃料用の作物畑に変えた場合に出るCO2の量と、生産されたバイオ燃料の使用によるCO2排出削減量が等しくなる時間を試算した。

試算の結果、最も時間がかかったのは、1ヘクタールあたり約3500トンのCO2を貯留している換算になるインドネシアやマレーシアの泥炭地の森をパームやしの畑に変える場合で423年。ブラジルの熱帯林を大豆畑にした場合は319年、米国中部の草原をトウモロコシ畑に変えた場合も93年だった。これらの期間に達するまでは、化石燃料を使う場合よりもCO2の排出量が総計で多くなり、地球温暖化を促進するという。

(2008年2月8日15時08分 読売新聞)