地球温暖化防止に本腰? 行動起こす米国産業界(日経BP)

地球温暖化防止に本腰? 行動起こす米国産業界

2008年2月19日 15時57分

温暖化対策が社会問題になりつつある米国

2006年まで、常に温室効果ガス(GHG)の排出量トップの位置を占めてきた米国。昨年、北京オリンピックを間近に控え、発展著しい中国にトップの座を明け渡したものの、変わらず世界中からの不信を一身に集めている。これは、ブッシュ政権による京都議定書の締結見送りに端を発するものである。しかし、そんな連邦政府の動きに反し、市民団体による地球温暖化防止を訴える行動が活発化。いよいよ米政府も重い腰を上げざるを得ない状況になっている。環境問題を争点の一部にした米国大統領選挙の盛り上がりも追い風になっていることは間違いないだろう。

州単位の動きを見ても、ニューヨーク州を中心にした北東部10州による地域温室効果ガス・イニシアティブ(RGGI)や、カリフォルニア州などではEU-ETS(EU域内排出量取引)との連携が検討されているなど、連邦政府を動かさんばかりの勢いで、地球温暖化防止に対する取り組みが活発化している。

そして、それに勝るとも劣らない勢いなのが、企業による取り組みだ。今回は、これまで世界をリードしてきた米国の産業──自動車、IT(情報技術)産業を中心に、企業が独自に進める取り組みについて検証してみたい。温暖化問題が叫ばれる時代において、いまなお「メイド・イン・アメリカ」というブランドは有効なものなのか。そして、産業界の取り組みが政府を動かし、これまで米国が受けてきた汚名を返上するほどのパワーを持ったものなのであろうか。

先ごろ、2007年の自動車販売台数が発表された。トップを争ったのは、米ゼネラル・モーターズ(GM)と日本のトヨタ自動車であった。GMの936万9524台に対して、トヨタは936万6000台とわずかに及ばなかったものの、2008年の今年、トヨタがトップになることは、ほぼ確実視されている。

昨年の数値を詳しく見てみると、GMは米市場で前年比6%のダウンだったが、その原因はハイブリッド車販売の立ち後れにあると目されている。それを受け、今年1月に行われた「デトロイトモーターショー」ではGMが奮起、ハイブリッド車3タイプを発表した。なかでも注目されたのは、プラグイン・ハイブリッド車「サターン・ヴュー・グリーン・ライン」だ。