地域循環システムを創る

~生ゴミを活かすための循環システムを創る~

生ゴミをごみ処理するのではなく、資源として活かすためには地域にあった循環システムを創ることが不可欠です。単にバイオガスプラントなどの機械(ハード)を導入するだけでは、エネルギーや液肥をうまく活用することが出来ません。ハードの導入だけではごみ処理の延長になる可能性が高く、農地に廃棄物をばら撒くことになりかねません。大木町では生ゴミを地域で活かすための循環システムを確立させることを目指しています。それは家庭からでる生ゴミの分別システム、地域にあったなるべく低コストのハードの選定、液肥の成分調査と使用技術の確立や散布方法、循環農産物の販売と地域への還元などの分野で実証研究を実施してきました。

大木町の概況

大木町の概況

福岡県南部筑後平野の中央部、水郷柳川に隣接した農業の町

人口約14500人、面積18.43平方キロ

掘割が町の面積の14%

この地方は古代「水沼の縣(あがた)」と呼ばれる沼地で、三潴郡の名称は水沼が変化して名づけられたと言われています。沼地であったこの地域で排水のよい地盤とするため先人が営々と作り上げたものが「堀」で、この堀が町全体を網の目のように巡り、農業用水や防火用水、生活廃水の放流先、地下水の涵養(かんよう)など生活と密接に関わっているのが町の特徴。堀の面積は町全体の14%を占めています。

近年では、生活廃水による集落内のクリーク(堀)の汚濁が問題化しており、住民団体を中心とした、堀再生への取り組みが盛んに行われています。

特産は、苺・シメジ・えのき・花ござなど

住民活動が盛ん(アース倶楽部など)

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循環のまちづくりの取り組みが、

2006年2月にバイオマスタウンに認定されました。

生ごみ分別慣れてしまえば

 大木町では、平成13年11月から、7地区の行政区648世帯及び町内の保育園・給食センター・アクアスに協力をお願いし、生ごみ分別収集を実施してきました。ご協力をお願いする家庭に水切りバケツを配り、5世帯から10世帯ごとに配置したバケツコンテナに生ごみを投入してもらいました。

生ごみの収集は週2回、収集日の前日の夕方までにバケツコンテナを配置し、次の日の午前中に回収する方法で実施しました。

 モデル地区の家庭に約半年間の生ごみ分別をお願いし、期間終了後アンケートを実施しました。

アンケートの結果は以下のようになりました。

生ごみ分別を継続させるためにも最も重要なことは、良好な分別状況を維持できるかどうかにあります。

モデル地区における分別収集は、山形県長井市のレインボープランなどで採用されている、バケツコンテナ方式により実施しました。

分別したら燃やすごみが7割も減りました。

道本地区生ごみ分別モデル地区から17名に協力をお願いし、今まで燃やすごみとして町の指定袋で出しているものの中で、「生ごみ」「雑誌」「プラスチック・ビニール」「燃やすごみ(雑ごみ)」の4種類に分別して、1ヶ月間各重量を量ってもらいました。その結果、平均して燃やすごみが7割も減りました。

各家庭によって出されるごみの量にはかなりの開きがありましたが、「燃やすごみ」の中からきちんと分別を行えば平均で7割(最高9割)のごみの減量となることがわかりました。

また全体のおよそ6割を「生ごみ」が締めています。生ごみを分別すれば「燃やすごみ」が6割も減ることになります。さらにプラスチック・ビニールを分別したことによって使用するごみ袋の数が目に見えて減ったという感想もありました。容積の面でも大幅なごみの減量につながりました。

<平成13年度から3年間実施した有機物循環事業共同研究より>

大木町が目指す循環のまちづくり

大木町は住民活動が盛んで、福祉環境まちづくり子育てなどをテーマにした団体が活発に活動しています。このような住民団体の活動に支えられ、行政と住民のパートナーシップによるまちづくりが進んでいます。

また、特に循環型地域社会づくりを目指した様々な取り組みを、住民との協働により実施しています。

平成7年からは、近隣市町村に先駆けて資源ごみの分別収集を全行政区域で開始し、住民との共同作業によりごみ資源化に大きな成果を上げています。

平成12年度には、大木町地域エネルギービジョンを策定し、生ごみなどバイオマス資源の活用計画や、太陽光など自然エネルギーの導入計画、さらに≪あーすくらぶ≫などの住民団体が取り組んでいた、省エネルギープランも導入。

中でも、太陽光発電の普及は目覚しく、町内学校施設への太陽光発電設置事業や、住民団体と共同による町の温泉施設への地域共同発電所の設置。更に住宅用太陽光発電設置に対する補助事業、おおきグリーンファンドなどの住民団体との共同による啓発事業などにより急速に広がっています。

平成13年度から3年間、福岡県リサイクル総合研究センターとの共同事業により、長崎大学や佐賀大学、九州大学、福岡教育大学などの研究室や㈱クボタ、地域農業改良普及センターなどの関係機関、住民や農家など『産・官・学』が参加して、生ごみを地域循環させるための社会システムの確立を目指し、実証実験を含めた共同研究を行い、今日のバイオマスタウン構想の基礎を築いてきました。

平成16年度には「バイオマス等未活用エネルギー実証試験事業・同事業調査」に取り組んでおり・生ごみ・し尿等有機廃棄物のバイオガスプラントによる資源化のための調査事業を実施してきたのです。

以上のような環境への取り組みの集大成が、現在大木町が目指している循環のまちづくりである。バイオマスタウン構想は大木町が目指す循環のまちづくりの中核を担っています。

何故、大木町がくるるんを造ったか

①何故、大木町がくるるんを造ったか(背景・歴史・必要性・計画)

(環境というキーワードで町の独自性を出したかったから・・・)

 

 海洋投棄に依存していた大木町は平成19年1月に施行されたロンドン条約による海洋投棄禁止に対して、生し尿・浄化槽汚泥の陸上処理の必要性に迫られていました。

 これと機を同じくして、地球環境問題(温暖化、京都議定書等)がクローズアップされ、町として環境に配慮した適性処理を考えるに至ったのでした。

 ただ、環境施設を建設するだけでなく、環境への取り組みを町民を巻き込んで協働にて実現化できるプログラムをつくり進めてきました。

②何故、今バイオマス利活用か(地球温暖化、CO2削減、京都議定書)

 Co2を中心とした地球温暖化ガスは世界全体に様々な影響を与えている現状にあります。

■温度上昇■水面上昇⇒沈み行く国・町■異常気象■死滅するサンゴ・・・・・等等

■これに対して京都議定書では削減目標を決め(6%)世界的な改善に乗り出しました。
しかしながら、我が国日本は、基準年より更に6%の二酸化炭素増加排出し、厳しい削減目標となっています。
EUでは更に削減目標を高め(30%)、先駆的活動を本格化しているのです。

■私達の大木町でも独自の削減目標を決め、その数値目標を目指し、町民一体となった取り組みを行います。

③何故、施設を町の中心にもってきたか(町のコア施設、市民と造る施設)

 メタン発酵施設の原料は生ごみ、生し尿、浄化槽汚泥という日常生活から排出される貴重なバイオマス資源です。しかし、これまでの施設造りでは迷惑施設(廃棄物処理施設)として、片隅に押しやられる傾向にありました。

 大木町では、今後目指す環境都市として、これらの廃棄物を資源として捉え、更にその資源を活用してエネルギーを作り出す施設として捉えました。そのため、その施設は、今後整備される国道沿いの町中心に配置し、更に今後集客を見込める観光施設や町民が集いあう施設とできるよう考えています。

   おおき循環センターを中心として、我が町の経済・観光・農業・地域活動等すべてが基点となり循環するように考えています。

④何故、環境教育に力を入れるか(子供、地域、日本、世界のため

 私達は環境に関係する施設を整えてきました。メタン発酵施設・BDF(廃油改質)装置、太陽光発電・環境学習室・・・・これらの身近に感じることができる施設や実際の活動を通じて、地域の子供達に環境保全の大切さ、今後のエネルギー問題等様々な重要な知識や経験を体感し、学んで欲しいという願いがあります。

 将来、子供達が他の地域で、私達の活動を紹介したり、PRしたりする活動を支えたり、また日本のバイオマス利活用や理化学の分野を支える人材を輩出できるよう、様々な支援を考え取組んでいきます。

⑤おおき循環センターから何を生み出そうしているのか

 この施設からは電気、熱、肥料、代替燃料等が生み出されます。その活動により、実際に生み出される資源の利活用とそれに伴う温室効果ガスの削減等は進みます。しかしながら、私達はこれらの活動を通じて、町民の環境や生活に関する意識を高めたり、意見を交換したり、子供達の教育につなげたり、地域で新しい活動が生まれたり・・・・そんな様々な相乗効果が生まれ、町全体の活動のエネルギーを作りたいと思っています。

⑥どのようにして施設が完成したか(補助、協力者、会議、方向性)

 (他の自治体の人の参考になるような形)

■生し尿・浄化槽汚泥を処理するためには、一般的には環境省管轄の施設となり大きな建設費用を伴う計画でした。

■我が町は廃棄物ではなく、資源として捉え、農水省の「バイオマス環づくり交付金」(50%補助)を活用しエネルギー化に取組みました。

■更に95%近い起債対象となり、町の負担が少ない施設整備となりました。

■これまで上記の処理物に係っていた費用(         )と施設建設に伴う運営費(         )との間には、(           )程度の削減できる結果があり、当該施設の建設により経費削減も同時に実現できたのです。