もったいない宣言(ゼロウエイスト宣言)公表

大木町は、平成20年3月11日、町議会の議決を経て、もったいない宣言(ゼロウエイスト宣言)を公表しました。ゼロウエイスト宣言は徳島県上勝町に続き、全国で2例目です。

もったいない宣言の内容は詳細参照

大木町もったいない宣言
(ゼロウエイスト宣言)

子どもたちの未来が危ない。
地球温暖化による気候変動は、100年後の人類の存在を脅かすほど深刻さを増しています。その原因が人間の活動や大量に資源を消費する社会にあることは明らかです。
私たちは、無駄の多い暮し方を見直し、これ以上子どもたちに「つけ」を残さない町を創ることを決意し、「大木町もったいない宣言」をここに公表します。

1、先人の暮らしの知恵に学び、「もったいない」の心を育て、無駄のない町の暮らしを創造します。

2、もともとは貴重な資源である「ごみ」の再資源化を進め、2016年(平成28年)度までに、「ごみ」の焼却・埋立て処分をしない町を目指します。

3、大木町は、地球上の小さな小さな町ではありますが、地球の一員としての志を持ち、同じ志を持つ世界中の人々と手をつなぎ、持続可能なまちづくりを進めます。

以上宣言します。

大木町もったいない宣言 その背景
2007年のノーベル平和賞に、地球温暖化の影響や対応策などの報告書をまとめた国連機関「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」と、地球環境の危機を訴えるドキュメンタリー映画「不都合な真実」に登場する前アメリカ副大統領のアル・ゴア氏が選ばれました。ノーベル賞委員会は、地球温暖化による気候変動は地球平和への脅威となると指摘し、気候変動が制御不能になる前に今すぐ行動が必要だ、というメッセージを送っています。
2007年11月に採択されたIPCCの第4次統合報告書によると、2100年までに地球の平均気温が最大6.4度上昇すると予測し、その原因を人間活動によるものと断定しました。この予測は近未来が気候変動により相当深刻な状況に陥り、人類の存続さえ危ぶまれることも示唆しています。いまや地球温暖化は、世界にとって、最大で最優先の課題となっています。
限られた資源を大量に消費し、一方的にごみとして処理をする社会のあり方が、まさしく問われています。便利さや物の豊かさを求める「ものさし」から、子どもたちの未来を考え、地球環境を守る「ものさし」に変え、社会のあり方や生活の質を見直すことが必要になっています。大量消費を謳歌し、ごみを出し続け、地球環境を破壊し続けることは、まさしく子ども達や未来世代に対する無責任であると言えます。
「もったいない」とは、物の本体を意味する「勿体=物体」のこと。「ない(無い)」は、それを否定したもので、本来は物の本体を失うことをさす言葉です。一方、その裏の意味は、形には表れない努力・時間・苦労などを積み重ねてきたことへの感謝の気持ちと、それを無にしてしまった無念とが一体となったもので、その思想は日本独自の文化を形作っていました。物があふれ、ごみを大量に出す社会の中で「もったいない」という優れた文化が忘れ去られ、地球温暖化などの環境破壊を生み出しました。日本人の優れた文化である「もったいない」は持続可能なまちづくりのキイワードになります。

大木町もったいない行動宣言

1、大量に物が氾濫する社会のなかで育った世代は「もったいない」の心が十分には育っていません。特に子ども世代を対象に「もったいない」の心を育てる教育は何よりも大切です。「もったいない」を実践してきた高齢者と子ども世代や若い世代の交流を進め、「もったいない」の心を育てる教育を実践します。

2、2000年(平成12年)に制定された資源循環型社会形成推進基本法は、3Rの中で、リデユース(減らす・無駄をなくす)、リユース(再利用)の考え方を優先し、リサイクル(再資源化)は最後の手段として位置づけています。リサイクルは必ずしも資源やエネルギー削減につながらず、特に容器包装にかかるリサイクル費用の大部分は自治体負担になるなど多くの問題があります。大木町はリデユース、リユースを推進し、無駄の多い容器包装の発生抑制に努めます。

3、大木町は、製品や容器包装の再資源化費用をすべて生産者が負担する拡大生産者責任の徹底や、容器包装のディポジット制度導入など、ごみの発生抑制や分別収集の徹底などに役立つ法制度の早急な整備を国や関係機関に求めて行きます。

4、大木町では、2006年(平成18年)11月より生ごみの分別収集を開始し、住民みんなの力で燃やすごみの大幅削減に成功しました。また、2007年(平成19年)度より燃えないごみの分別品目を増やし、2008年(平成20年)度からのプラスチックごみの分別を予定しています。ごみの減量と分別資源化を進めるための数値目標を定め、2016年(平成28年)度までに、ごみの焼却・埋立て処分をしない町を目指します。

以上宣言します。

「環境のまちづくり」宣言

「環境のまちづくり」宣言

私たちは今、大きな岐路に立たされています。
これまでのような使い捨ての生活をつづけるのか、
それとも、限りある資源を繰り返し使う無駄のない生活スタイルを取り戻すのか‥‥
使い捨ての社会は、すでに限界を迎えています。
これからは、「もったいない」の価値観が
持続可能な社会を作るキーワードになります。

 美しい故郷を、もっと自慢できる故郷にして、
未来の世代に引き継ぐために、身近なところから始めましょう。

 おおき循環センター「くるるん」が完成し、
生ゴミなどの再資源化という新しい取り組みがスタートしました。

 私たちは、この取り組みを契機に、
何一つ無駄にしなかった先人の知恵に学び、
今後更に、循環のまちづくりを推進していくことをここに宣言します。

平成18年11月11日
循環のまちづくり推進委員 代表 荒木フサエ

地域循環システムを創る

~生ゴミを活かすための循環システムを創る~

生ゴミをごみ処理するのではなく、資源として活かすためには地域にあった循環システムを創ることが不可欠です。単にバイオガスプラントなどの機械(ハード)を導入するだけでは、エネルギーや液肥をうまく活用することが出来ません。ハードの導入だけではごみ処理の延長になる可能性が高く、農地に廃棄物をばら撒くことになりかねません。大木町では生ゴミを地域で活かすための循環システムを確立させることを目指しています。それは家庭からでる生ゴミの分別システム、地域にあったなるべく低コストのハードの選定、液肥の成分調査と使用技術の確立や散布方法、循環農産物の販売と地域への還元などの分野で実証研究を実施してきました。

生ごみ分別慣れてしまえば

 大木町では、平成13年11月から、7地区の行政区648世帯及び町内の保育園・給食センター・アクアスに協力をお願いし、生ごみ分別収集を実施してきました。ご協力をお願いする家庭に水切りバケツを配り、5世帯から10世帯ごとに配置したバケツコンテナに生ごみを投入してもらいました。

生ごみの収集は週2回、収集日の前日の夕方までにバケツコンテナを配置し、次の日の午前中に回収する方法で実施しました。

 モデル地区の家庭に約半年間の生ごみ分別をお願いし、期間終了後アンケートを実施しました。

アンケートの結果は以下のようになりました。

生ごみ分別を継続させるためにも最も重要なことは、良好な分別状況を維持できるかどうかにあります。

モデル地区における分別収集は、山形県長井市のレインボープランなどで採用されている、バケツコンテナ方式により実施しました。

分別したら燃やすごみが7割も減りました。

道本地区生ごみ分別モデル地区から17名に協力をお願いし、今まで燃やすごみとして町の指定袋で出しているものの中で、「生ごみ」「雑誌」「プラスチック・ビニール」「燃やすごみ(雑ごみ)」の4種類に分別して、1ヶ月間各重量を量ってもらいました。その結果、平均して燃やすごみが7割も減りました。

各家庭によって出されるごみの量にはかなりの開きがありましたが、「燃やすごみ」の中からきちんと分別を行えば平均で7割(最高9割)のごみの減量となることがわかりました。

また全体のおよそ6割を「生ごみ」が締めています。生ごみを分別すれば「燃やすごみ」が6割も減ることになります。さらにプラスチック・ビニールを分別したことによって使用するごみ袋の数が目に見えて減ったという感想もありました。容積の面でも大幅なごみの減量につながりました。

<平成13年度から3年間実施した有機物循環事業共同研究より>

大木町が目指す循環のまちづくり

大木町は住民活動が盛んで、福祉環境まちづくり子育てなどをテーマにした団体が活発に活動しています。このような住民団体の活動に支えられ、行政と住民のパートナーシップによるまちづくりが進んでいます。

また、特に循環型地域社会づくりを目指した様々な取り組みを、住民との協働により実施しています。

平成7年からは、近隣市町村に先駆けて資源ごみの分別収集を全行政区域で開始し、住民との共同作業によりごみ資源化に大きな成果を上げています。

平成12年度には、大木町地域エネルギービジョンを策定し、生ごみなどバイオマス資源の活用計画や、太陽光など自然エネルギーの導入計画、さらに≪あーすくらぶ≫などの住民団体が取り組んでいた、省エネルギープランも導入。

中でも、太陽光発電の普及は目覚しく、町内学校施設への太陽光発電設置事業や、住民団体と共同による町の温泉施設への地域共同発電所の設置。更に住宅用太陽光発電設置に対する補助事業、おおきグリーンファンドなどの住民団体との共同による啓発事業などにより急速に広がっています。

平成13年度から3年間、福岡県リサイクル総合研究センターとの共同事業により、長崎大学や佐賀大学、九州大学、福岡教育大学などの研究室や㈱クボタ、地域農業改良普及センターなどの関係機関、住民や農家など『産・官・学』が参加して、生ごみを地域循環させるための社会システムの確立を目指し、実証実験を含めた共同研究を行い、今日のバイオマスタウン構想の基礎を築いてきました。

平成16年度には「バイオマス等未活用エネルギー実証試験事業・同事業調査」に取り組んでおり・生ごみ・し尿等有機廃棄物のバイオガスプラントによる資源化のための調査事業を実施してきたのです。

以上のような環境への取り組みの集大成が、現在大木町が目指している循環のまちづくりである。バイオマスタウン構想は大木町が目指す循環のまちづくりの中核を担っています。