暑さによる死亡確率6倍に=国内の温暖化影響を予測・茨城大など

時事通信 2008/05/29-19:45

茨城大や国立環境研究所など14機関による研究グループは29日、地球温暖化が日本国内にもたらす影響の予測を公表した。気温上昇で暑さが厳しくなることで、熱中症などの「熱ストレス」による死亡確率が現状と比べ今世紀末に6倍になることが分かった。

研究では、1990年比で2030年代に気温が2度、今世紀末に4.8度上昇するシナリオなどを基に調べた。

研究では、1990年比で2030年代に気温が2度、今世紀末に4.8度上昇するシナリオなどを基に調べた。
予測によると、健康被害では熱ストレスなどのほか、デング熱やマラリアといった感染症を媒介するネッタイシマカやヒトスジシマカの分布域が拡大する。
森林では、ブナ林の分布域減少やマツ枯れが生じる。世界自然遺産に登録されている白神山地のうち、ブナ林が分布するのに適している地域は50年までに現状比44.3%~2.9%へ減少、今世紀末までに3.4%からゼロへと激減する。
高潮被害を受ける可能性のある人口は、東京湾、伊勢湾、大阪湾と西日本の沿岸部で29万人(2000年)から137万人(2100年)に増加する。
コメの収量は北海道や東北を中心に増えるため、全国でも30年ごろまでは増収する。しかし気温上昇が続くと、西日本での減収量が大きくなるため、50年ごろには現状を下回る。

日本の洪水被害年1兆円増、ブナ林消滅 温暖化続けば

朝日新聞 2008年05月30日01時44分

地球温暖化が日本に及ぼす影響に関する最新予測が29日公表された。このまま温暖化が進むと2030年代には豪雨の増加で洪水被害額が年平均1兆円分増えたり、40年代から国全体のコメの収量が減少に転じたりする。これまで比較的影響が小さいとみられていた温帯の日本でも被害が深刻なことを具体的に示した内容だ。

国立環境研究所や農業環境技術研究所など14の研究機関でつくる「温暖化影響総合予測プロジェクトチーム」が3年間にわたって研究した成果。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のシナリオの一つに基づき、現状のまま世界で温室効果ガスの削減が追加されない前提で、日本の平均気温が1990年比で2030年に1.9度、50年に2.8度、2100年に4.8度上がると仮定して検討した。

水資源、森林、農業、沿岸域、健康の5分野で、2050年ごろまでを中心に今世紀中に地域別にどんな影響があるか分析。生態系には、20年代の1.5度前後の気温上昇でも松枯れ面積の拡大などの影響が出る。40年ごろには、ブナ林の分布に適した地域がほぼ半減することが見込まれる。

洪水や土砂災害の危険性は30年代の2度を超えると急速に高まり、高潮で浸水被害を受ける可能性のある人口は現在の1.7倍に増える。農業は40年代の2.6度の上昇までは二酸化炭素が生育を促す効果などでコメの増収が見込めるが、それ以上では減収となる。

京都議定書に続く次期枠組みの合意内容次第で、将来の気温上昇幅は左右される。世界全体で2050年に半減以下にできれば2度前後の上昇に抑えられるとされている。

2030年、集中豪雨相次ぐ 温暖化の影響予測

中日新聞 2008年5月30日 朝刊

地球温暖化を研究する東京大、茨城大、名城大など14研究機関でつくるプロジェクトチームは29日、2100年までに日本が受ける影響予測を発表した。今世紀末には気温が1990年比で4・8度上昇。海面は36センチ上がり、高潮時には137万人が浸水被害に遭う。北海道などでコメの収量は増加するが、世界遺産の白神山地のブナ林は消失するとした。

影響が深刻なのは水問題。気温が2度上昇する30年には太平洋沿岸や山岳地域で集中豪雨が相次ぎ、今より洪水被害額が年1兆円増大する。台風などによる高潮で東京、大阪、伊勢の各湾と西日本を合わせて52万人が浸水被害を受け、今世紀末にはさらに拡大する。海面上昇により沿岸の憩いの場が失われ、今世紀末には砂浜で1兆3000億円、干潟で5兆円の経済損失が生じる。

50年ごろのコメ収量は北海道で26%増えるなど、40-60年にかけて全国で増加傾向をたどるが、その後は不作が頻発して不安定化。耐暑性のあるコメ栽培が拡大する一方で、冷害が発生すると甚大な被害が出る。

健康への影響ではデング熱を媒介するネッタイシマカが今世紀末には関東圏まで北上し、ヒトスジシマカも現在の東北から北海道まで分布が拡大する。

研究を主導した茨城大の三村信男教授は「雨が多く山岳地帯が国土の7割を占める日本は、気候変動の影響を受けやすい。温室効果ガスの削減と同時に、適応に向けて対策を考えていかなければならない」としている。

【地球温暖化の影響予測】 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による、温室効果ガスの排出量に関するシナリオを基に、温度上昇や海と大気の間のエネルギーのやりとりなどをコンピューターで計算する「気候モデル」を使って行う。今回の影響予測は東京大や国立環境研究所などが開発した地球シミュレーターによる温度上昇予測のデータを用いた。

2050年温暖化ガス半減へG8が「強い意志」=環境相会合

2008年 05月 26日 14:38 JST

[神戸 26日 ロイター] 神戸市で開かれていたG8(主要国)環境相会合は最終日の26日、世界の温暖化ガス排出量を2050年までに半減することについて、「(G8の)多くの国が長期目標に関する共有ビジョンに合意することについて強い意志を表明した」とする議長総括を発表した。

同総括は、目標達成に向け「先進国が大幅な削減達成を主導しなければならない」と呼びかけた。総括文書は7月の北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)に提出し、G8首脳に温暖化対策促進を促す。

議長を務めた鴨下一郎環境相や各国代表は26日午前、記者会見した。鴨下環境相は議長総括の取りまとめについて「洞爺湖サミットに向けて大きな弾みとなったと思っている」と述べた。

地球温暖化対策の国際的な取り組みでは、2009年末にコペンハーゲンで開かれる国連気候変動枠組み条約第15回締約国会議(COP15)において、現行の京都議定書の削減約束期間(2008年─12年)後に、どのような枠組み(ポスト京都)を作るかが最大の焦点。鴨下環境相は、「COP15に向けて環境問題の国際的な世論を加速していくことが重要で、その趣旨からも(会合は)役割を果たした」と語った。

昨年の独ハイリゲンダムサミットでは、EU(欧州連合)、日本、カナダが提唱した「2050年までに世界の温暖化ガスを半減させる」との提案を「真剣に検討する」ことで合意。この合意を洞爺湖サミットに向けいかに前進させるかが、神戸会合の焦点のひとつとなった。

しかし、排出削減に消極的な米国側がG8環境相会合について「交渉の場ではない」(環境保護庁幹部)と指摘するなど、「2050年に半減」で、G8各国が足並みをそろえたとは言い難く、長期目標に関する議長総括も、昨年のハイリゲンダム合意に比べ踏み込み不足な印象を残した。環境団体「2008年G8サミットNGOフォーラム」は、長期目標に関する記述について、「ハイリゲンダムサミットの塗り直し」と酷評した。

ポスト京都の枠組み作りでは、2020年ごろをターゲットとした中期の削減目標も焦点。ただ、今回の議長総括は中期目標について、「IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の科学的知見を考慮して実効的な目標を設定する必要性が認識された」と短く記載さるに止まった。

EUは、域内の温暖化ガス排出量を2020年までに1990年比20%削減、国際合意の内容によっては削減率を30%に拡大することを提案している。この目標はIPCCが、地球の温度の上昇幅を工業化社会以前の2度以内に抑えるには、先進国は2020年に90年比べ25─40%削減する必要があると指摘したことを根拠としている。ドイツのマハニッヒ連邦環境事務次官は26日の、「これから20年間が大事だ。IPCCが定めた科学的な観点から明確な削減目標を定めるべき」と強調した。

ただ中期目標に関する日本側の立場について、鴨下環境相は「中期目標の数字はまさに国際交渉そのもの。このタイミングで数字を出すことが適切なのか、十分に考えて国としての方針を示すべき」と説明した。日本は、産業・部門別に排出削減可能量を積み上げる「セクター別アプローチ」を提唱。積み上げても不足する場合の対応については、「政策的な処置、革新的な技術、国民運動、ライフスタイルの変革などでギャップを埋める努力をする」(鴨下環境相)としている。

日本側は、同アプローチが国別削減目標に代わるものでないことを環境相会合で説明。削減手段としては有効であると各国への理解が広がったもようだ。

G8環境相会合 日本の消極姿勢に批判

2008年5月27日(火)「しんぶん赤旗」

温室ガス削減 中期目標で新提起なし

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解説

二十六日に閉幕した主要八カ国(G8)環境相会合は、焦点の地球温暖化問題で日本が新たなイニシアチブを示さず、七月の北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)や、二〇一三年以降の温暖化防止の新たな国際協定づくりにとって、大きな突破口を開くこともなく閉幕しました。議論を通じて日本の消極姿勢への批判が強まっており、サミット議長国としてのかじ取りの困難さを予想させる会合となりました。

責任あいまい
「セクター別アプローチも長期目標も、義務的な中期目標の代わりにはならない。先進国が二〇年までに一九九〇年比で25―40%削減する中期目標で合意しなければ、気温上昇を工業化開始前から二度以内に抑える目標は達成できない」

二十五日の温暖化問題の論議を前にドイツ政府代表はこう語り、「セクター別アプローチ」や長期目標での合意をサミットの「成果」にしようとする日本の姿勢を批判しました。

その直後の鴨下一郎環境相の基調講演は、日本が求められている中期目標設定についての新たな提起が何もない一方で、発展途上国関連の対策ばかりを詳しく述べるものでした。

そこからは、(1)「温室効果ガス排出量を五〇年までに世界全体で半減する」との長期目標を「目指すべきビジョンとして共有」することをサミットの「成果」とする(2)先進国の取り組みと同時に「途上国の削減行動も必要」だと主張して日本の責任をあいまいにしたい―といった姿勢がうかがえました。

目標が不明確
国連気候変動枠組み条約のデブア事務局長は二十五日の記者会見で、「長期目標は長期目標。中期目標が明確にならなければ企業はどう投資してよいか分からない」と述べ、温暖化防止を具体化する上で中期目標設定が決定的だと強調しました。

しかし、最終日に発表された議長総括は中期目標について、「IPCCの科学的知見を考慮して実効的な目標を設定する必要性が認識された」というだけです。長期目標についても、あいまいな表現にとどまりました。鴨下環境相は閉幕後の共同記者会見で、「中期目標は国際交渉の中での話」だとし、日本の目標提示は時期尚早との立場を示しました。

これに対しドイツのマハニッヒ環境事務次官は「科学は明確に25―40%削減を求めている」と指摘。「義務的な中期目標」設定は一三年以降の新協定づくりで「カギを握る問題だ」と力説しました。

混乱招く提案
「セクター別積み上げ」方式への日本の固執は、引き続き混乱を招きました。これに支持を表明したのは、二十四日の「各界との対話」で発言した日本経団連と日本商工会議所の代表だけ。閣僚会合で日本は、この問題での立場を明確に説明するよう求められました。

欧州委員会環境総局のデルベーケ副総局長は二十五日の記者会見で、会合での議論で「削減数値目標が重要だという点で異論はない」とし、「セクター別」方式が「削減数値目標を補完する上で有益だという点で全員が合意した」と述べました。

議長総括は、「セクター別アプローチは国別総量目標…を代替化するものではないことが明確化された」と明記しました。

さらに、「ボトムアップ」(積み上げ)方式と、まず排出上限目標を設定する「トップダウン」方式の「ギャップが埋められる必要がある」と表現。日本が主張する「セクター別」積み上げ方式だけでは総量削減目標を達成できないことを、事実上認めた内容になっています。(坂口明、中村秀生)

食料不安/飽食スタイル見直す機会に

河北新報社説 2008年05月26日月曜日

食料の未来に不安の影が忍び寄りつつある。

相次ぐ食品の値上がりはそのおぼろげな輪郭であろう。めん類やパン、食用油、肉類、乳製品―。製品の原料であり畜類の飼料となる、小麦も大豆もトウモロコシも、国際価格はこの1年半で約2.5倍に跳ね上がっている。

人口増と経済成長が著しい中国やインドを含む新興国の需要増を基底に、米国のバイオ燃料増産政策、頻発する異常気象による生産変動も絡み、世界の台所事情を悪化させている。

政策変更が可能なバイオ燃料を除けば、人知の及びようもない要因であり、長期的に見れば需給逼迫(ひっぱく)の度合いは強まりこそすれ弱まることはあるまい。食品の価格も同様に推移しよう。
「災いを転じて福となす」という。発想を変え、迫り来る食料の危機を、「食のゆがみ」を正す好機にできないものか。「飽食」スタイルからの転換だ。
日本人の食生活は経済成長とともに大きく変化してきた。

成長の出発点とも言える50年前と比べ、供給量はコメやイモがほぼ半減。一方で肉類は8.7倍、牛乳・乳製品が7.6倍、油脂類が5.4倍も伸びた。パンの消費も増大し、この食の洋風化が、穀物の輸入に拍車をかけてきたのだ。
この変化は健康面で悪影響をもたらした。畜産物や脂質の取り過ぎ、野菜不足などから、どうしても肥満や生活習慣病になりやすい。
ここは「健康的」と欧米でも人気がある日本型食生活の良さを見直してみてはどうか。

コメを中心に、野菜がふんだんな煮物や汁物に魚、肉を組み合わせた食事は、栄養のバランスが取れ健康にいい。しかも、そこの風土にはぐくまれた身近な食材を使えば、農業の食料供給力の向上を促し、ひいては地域経済も元気にできよう。
もう一つ、飽食の象徴として忘れてならないのは、食品の大量廃棄だ。

農水省によると、国内で発生する食品廃棄物は約1900万トン(2004年度)に上るという。同時期の世界の食料援助量が約730万トンというから、実にその2.6倍に相当する。「もったいない」を通り越して、罪悪感すら覚える。
家庭で廃棄される食料は一人当たり年間80キロを超す。調理くずに混じって、食べ残し、中には手つかずの食品もあろう。

ロスを最小限に抑えるよう、食品の購入と利用に心を配りたい。そうすれば、値上がり分も、国産食材の割高さも吸収できるかもしれない。
ライフスタイルは、そう簡単に変えられるものではなかろう。が、一歩を踏み出すことで、不安をいくらかでも和らげることができるのではないか。

民主が温暖化対策基本法案の骨子

温室効果ガスを25%超削減、民主が温暖化対策基本法案の骨子

(2008年5月21日20時15分 読売新聞)

民主党は21日の「次の内閣」の会合で、温室効果ガス排出量の日本の中期的な削減目標を「2020年までに1990年比25%超削減する」と明記した「地球温暖化対策基本法案」の要綱骨子案を了承した。近く参院へ法案を提出する方針だ。

骨子案には、長期目標として、2050年までのできるだけ早い時期に、1990年と比べて「60%超削減する」という数値目標も明記した。政府は長期的な削減目標を「現状より60~80%削減」とする案で調整しているが、削減の基準となる年がいつなのか明確になっていない。民主党案は基準年を90年と明確化することで、数値目標に具体性を持たせる狙いがある。

このほか、国に削減目標を達成するための基本計画の策定を義務付けたほか、<1>企業間で温室効果ガスの排出権を取引できる制度を2010年度から実施<2>温室効果ガスの排出抑制を目的に、CO2の排出量などに応じて課税する地球温暖化対策税の創設<3>温室効果ガスを大幅に削減できる新エネルギー利用促進のための財政・税制上の措置実施――などを盛り込んだ。

(2008年5月21日20時15分 読売新聞)

温暖化対策ビジョン/実効ある中期目標こそ必要

(河北新報社説 2008.5.18)

福田康夫首相が6月初旬にも発表する日本の新たな温暖化対策「福田ビジョン」で、温室効果ガス排出削減の長期目標について、2050年時点(基準年は00年)で60―80%減を検討していることが分かった。

これまで政府は、50年での世界の温室効果ガス半減を提唱していたが、国内の中長期目標の設定には慎重だっただけに、大きく舵(かじ)が切られたと言える。

温暖化対策が最大のテーマとなる7月の主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)や、京都議定書に定めのない13年以降の国際的な枠組み交渉での主導権を執るもくろみがあるにせよ、世界に向かって目標を提示する意味は小さくない。

さらに目標数値を高められないかどうかなどを詰め、6月の発表で環境立国・日本を世界にアピールしてほしい。

地球温暖化への認識や対策をめぐっては、先進国と中国、インドなど巨大途上国を含めた途上国、先進国の中でも米国と欧州連合(EU)との乖離(かいり)が著しいことは、京都議定書以来一目瞭然(りょうぜん)だ。

「ポスト京都議定書」についても、EUは50年で60―80%減と打ち出しているが、基準年を1990年としており、日本案より厳しい内容だ。加えて、20年まで20%削減する中期目標も設定している。

一方、01年に京都議定書を離脱した米国のブッシュ大統領は先月、「ポスト京都」で25年までに温室効果ガスの排出量増加に歯止めをかけ、その後減少に転じる中期目標を初めて発表した。中期目標は世界の大勢から後戻り感がある上、中国などほかの主要国が計画達成を義務化する場合にだけ国際的枠組みに拘束されるとしており、EUなどから批判が高まっている。

食糧はじめ、資源の多くを輸入に依存する日本に課せられた
役割はあくまで地球環境を重視し、EUの主張に近づき、米国や中国、インドを枠組みに取り込むことだろう。

その点、日本の国立環境研究所は国内で温室効果ガスの70%削減が可能だとしており、長期目標でもこのデータを軸にすべきだ。経済成長や国際競争力の観点から産業界などに反対の声は強いだろうが、地球環境保護という大局的見地から、立ち位置を決めなければならない。

そして早期に設定しなければならないのは、現実感のある中期目標の方だろう。長期目標はスローガンのようなものだが、中期目標は実効性を担保しなければならない。

大きな削減数値を盛り込んだ中期目標を掲げて、温暖化防止に取り組む姿勢を示し、途上国の積極参加を求めることが必要だ。

それにつけても08―12年の5年間の温室効果ガスの平均排出量を90年比で6%削減するという京都議定書の約束は、絶対に守らなければならない。

このままの状態が続けば21世紀末に地球の平均気温が最大6.4度も上昇、異常気象による洪水や干ばつなど人の生死にかかわる現象が続発する。こんな警告を忘れてはならない。
2008年05月17日土曜日

ノーカーでノー温暖化、十日町市(読売新聞)

地球温暖化の防止に取り組もうと、マイカーでの通勤を控えるノーカーデーが7日、十日町市で行われた。全市職員を対象に今月から始め、月1回取り組む。二酸化炭素排出削減や、環境意識を醸成するためで、降雪のない4~11月の第1水曜日を実施日とし、来年度以降も継続していく。

市総務課によると、この日、市役所本庁舎に駐車した職員のマイカーは72台。通常時の約35パーセントほどで、多くが自転車や電車などで出勤したという。

同課の試算では、全職員が月1回、7か月間マイカーの利用をやめると、約7・5トン、スギ530本分の年間の二酸化炭素吸収量を削減できるという。同課は「実施日以外にもマイカーを使わないなど浸透させ、市民にも取り組みが広がっていけば」としている。

(2008年5月8日 読売新聞)

九十九島の海でも異変 地球温暖化の影響?(西日本新聞)

九十九島の海でも異変 地球温暖化の影響? 熱帯魚越冬、ヒジキ生育悪く…

2008年5月2日 00:51 カテゴリー:科学・環境 九州・山口 > 長崎

地球温暖化の影響は、穏やかな入り江の景勝地、九十九島(長崎県平戸市‐佐世保市)の海にも影を落としているようだ。代表的な熱帯魚であるクマノミの越冬が確認され、亜熱帯を主な生息域とする海洋生物の捕獲情報も相次いでいる。

「お客さんは喜びますが、四季が明確なこの海の魅力が失われるようで複雑な気持ちです」。佐世保市鹿子前町でダイビング店を営む緒方義憲さん(61)は、数年前から枕島近海など南九十九島の広範囲で真冬にクマノミを目にしている。熱帯のサンゴ礁に広く生息するクマノミが通年で見られるのは、九州西岸では従来、同県西彼杵半島が北限とされていた。九十九島近海では「夏場に対馬海流に乗って北上することはあっても、冬には死んでいたのに」。緒方さんは首をかしげる。

長崎県総合水産試験場(長崎市)の調査では、同県沿岸の海水温(水深10メートル)は1986年ごろから特に冬季を中心に上昇傾向にある。県北水産業普及指導センター(平戸市)の観測でも、北九十九島の前島付近の2007年の年平均海水温(同)は、03年と比べて約1.1度高い。緒方さんは「たとえ一度でも、魚にとっては大きな変化では」と、温暖化の影響と推測する。

南方の海洋生物の目撃例はほかにもある。

西海パールシーセンター(佐世保市)によると、(1)沖縄など亜熱帯に生息するウミウシの一種「ヤマトメリベ」の発見情報が、佐世保湾を中心に昨年約20件あった(2)香港やフィリピンなどに分布する二枚貝「アシベマスオ」が、03年の南九十九島の調査で見つかった‐などがある。同センターの山口陽介・水族研究室係長(33)は「海流の変化など他の要因も考えられるが、地球温暖化が影響した可能性は十分にある」と話す。

海と向き合って暮らす漁業関係者も、変化を肌で感じている。佐世保市鹿子前町の漁業林喜代子さん(62)は、桂島や牧の島の波打ち際で春に採集する天然ヒジキが「今年は全然とれない」と嘆く。コンブ、ワカメなど、冬に成長する海藻類は今季、軒並み生育が悪いという。独立行政法人西海区水産研究所(長崎市)は「海水温の上昇が海藻類の成長を鈍らせ、また海藻を食べる魚の種類や数を増やした可能性もある」と分析している。

=2008/05/02付 西日本新聞朝刊=